至福の時 [本]
こんにちは
不穏な雨のお天気は落ち着いたようですね^^
きょうも一瞬空が暗くなったので、また降る???
と思いましたが、なんとか回避できた模様です~
さて、シエルで空いた時間ができたとき、楽しみにしていることがあります。
これが至福の時なんですよね~^^
いちばん好きな紅茶をミルクティでたくさん用意して、
好きな作家の本を読みふけってるとき、かな^^
現在、図書館のリクエストで順番がきた本が、
好きな作家ベスト3の勢揃いだったので、どれから読むのか
悩んでいる時間も至福の時かも?
わたしはおいしいものはいちばん最後に堪能する派なのですが、
このベスト3でどれから読むのかは、うれしいくらい難しい選択です。
本の中身とボリュームもありますからね^^;
いちばん好きな作家の本が、分厚くて重々しい物語だったら
まったく悩むことないんですけど。
いずれも劣らず、こころをとらえる3冊。
なかなか読みはじめられません^^
では、また。
不穏な雨のお天気は落ち着いたようですね^^
きょうも一瞬空が暗くなったので、また降る???
と思いましたが、なんとか回避できた模様です~
さて、シエルで空いた時間ができたとき、楽しみにしていることがあります。
これが至福の時なんですよね~^^
いちばん好きな紅茶をミルクティでたくさん用意して、
好きな作家の本を読みふけってるとき、かな^^
現在、図書館のリクエストで順番がきた本が、
好きな作家ベスト3の勢揃いだったので、どれから読むのか
悩んでいる時間も至福の時かも?
わたしはおいしいものはいちばん最後に堪能する派なのですが、
このベスト3でどれから読むのかは、うれしいくらい難しい選択です。
本の中身とボリュームもありますからね^^;
いちばん好きな作家の本が、分厚くて重々しい物語だったら
まったく悩むことないんですけど。
いずれも劣らず、こころをとらえる3冊。
なかなか読みはじめられません^^
では、また。
祝福 [本]
にほんブログ村
こんにちは
週末は久しぶりの雨になりました。
このブログでの読書日記は、読んだそばからUPするのではなく、
書き溜めておいて順次気が向いたら、というスタイルなので
微妙なタイムラグがあったりします^^
きょうは雨なので、新しい本たちを読み耽ると思うのですが、
まずはこちらをUPしておこうと思います^^
新人作家としては恵まれたデビューと作品群。
同じ作家でも、最初から完全に勝ち組です。
長嶋有氏の、『祝福』
文學界でデビュー、翌年芥川賞受賞。
2007年にはなんと第1回大江健三郎賞受賞。
華々しいことこの上ないです。
で、作品はというと。
なんというか、個人的な印象としては、「スレスレのキワキワ」
幅の細い塀の上を、ゆらゆら歩いて、いまにも反対側に落ちそうな?
しかし、決して落ちない。
そして、そのことをどこかでみんな知ってる、という感じ。
この1冊は、いろいろなところに書いた短編集を収録してます。
テーマも初出紙もバラバラですが、トーンは彼女のもの。
なんてことのない話で、セリフが多いのですが、
やっぱりこっち側なんだろうな~と思わせます。
こっち側ってなに?
人が読むべきものを書ける特殊な人たちがいる側なのかも。
一見たいしたことなさそうに見える人が、なかなかやるとなると
人はいっぺんにやられてしまいますね。
2度目、3度目に読める作品です、というか、読んでほしいです。
1度目にはスルーして評価できないかもしれないので。
では、また。
(2012.8.20)
月の上の観覧車 [本]
こんにちは
いちばん最初にこの人の作品を読んだときに、こんな作家になるとは
まったく思っていませんでした。
荻原浩氏の、『月の上の観覧車』
最近は対策が多かったのですが、これはめずらしい短編集。
ひとことで言えることは、
泣かされます。
短編集というにはもったいないほど、それぞれの話が詰まっています。
どの物語にも家族がいて、人生がうまくいかなかったときに支えになる。
2005年の個人的最高作品賞、『あしたの記憶』で書いてくれた世界が
8つの短編にそれぞれ息づいているような作品になっています。
親から生まれて、自分の家族をもち、その後の親のこと。
自分の家族を持った時点で、親とは違う時間が流れる。
一度流れ始めてしまった時間を合わせることは難しい。
別々の時間を過ごしていくことは淋しいけど悲しいことじゃない。
親を置いて先に時計を進めることには常に罪悪感がありますが、
それを越えても先に進まなければ、親孝行とは言えない。。
物語には、その違う時間が流れる家族に、配偶者がいたり
子どもがいたり、かつて愛した人がしたり、なのですが、
この時間の流れの違いについて、折り合いをつけて生きていくことを
描いているという作品たちになっています。
短編集ではありますが、じっくり読んでほしい1冊です。
では、また。
いちばん最初にこの人の作品を読んだときに、こんな作家になるとは
まったく思っていませんでした。
荻原浩氏の、『月の上の観覧車』
最近は対策が多かったのですが、これはめずらしい短編集。
ひとことで言えることは、
泣かされます。
短編集というにはもったいないほど、それぞれの話が詰まっています。
どの物語にも家族がいて、人生がうまくいかなかったときに支えになる。
2005年の個人的最高作品賞、『あしたの記憶』で書いてくれた世界が
8つの短編にそれぞれ息づいているような作品になっています。
親から生まれて、自分の家族をもち、その後の親のこと。
自分の家族を持った時点で、親とは違う時間が流れる。
一度流れ始めてしまった時間を合わせることは難しい。
別々の時間を過ごしていくことは淋しいけど悲しいことじゃない。
親を置いて先に時計を進めることには常に罪悪感がありますが、
それを越えても先に進まなければ、親孝行とは言えない。。
物語には、その違う時間が流れる家族に、配偶者がいたり
子どもがいたり、かつて愛した人がしたり、なのですが、
この時間の流れの違いについて、折り合いをつけて生きていくことを
描いているという作品たちになっています。
短編集ではありますが、じっくり読んでほしい1冊です。
では、また。
キミは知らない [本]
こんにちは
本屋ミステリーという、個人的に勝手に名づけたジャンルで
面白い作品を書いている作家と言えばこの人。
大崎梢氏の、『キミは知らない』
読んでみたらこれは本屋モノではなかったのですが、ジャンルは
ミステリーということで、ちょっと不思議な作品でした。
そもそも、なにが書きたかったのかがちょっとわからないのですが、
作品としてはキライではなく、ただ、不思議がのこる^^;
ちょっと万城目的ワールドに入っているような??
高校生の悠奈は、非常勤で短期補助のさえない若い数学教師が
辞めてしまうのがなぜか気になり、終業式の日にまとめた荷物の
宛先が、見覚えのある住所だったことから、休みにそこまで行くことにする。
すると、そこでは想像もしてなかった展開があり、急にわけのわからない
その土地の人から探され、追われ、逃げ回ることになる。
悠奈の父は旅先の旅館で火災による事故死をしている。
それがその教師の帰った故郷だったのが因縁となるのだけど、
その土地では、独特の信仰があり、巫女の存在が土地を守るとされている。
父と同じ旅館で事故死した女性は、その巫女の血筋。
悠奈はなぜか、巫女の血筋として対立する二つの家筋から、
取りこまれようと追われたり、襲われたりして帰ることができなくなる。
土地信仰と、巻き込まれ型の物語で、面白く読めるのだけど、
どうしても、万城目なところが気になってしまいマイナスポイントかも。
物語自体は面白く、さわやかで、なかなかいいのだけど、ラストは
ちょっとご都合主義というか、まとまりすぎかな~ということと、
結局、物語の本題に関してはうやむやで、先生と悠奈の関係もいらないかな^^;
半ばファンタジーですが、ミステリー要素もあるという感じです^^
では、また。
本屋ミステリーという、個人的に勝手に名づけたジャンルで
面白い作品を書いている作家と言えばこの人。
大崎梢氏の、『キミは知らない』
読んでみたらこれは本屋モノではなかったのですが、ジャンルは
ミステリーということで、ちょっと不思議な作品でした。
そもそも、なにが書きたかったのかがちょっとわからないのですが、
作品としてはキライではなく、ただ、不思議がのこる^^;
ちょっと万城目的ワールドに入っているような??
高校生の悠奈は、非常勤で短期補助のさえない若い数学教師が
辞めてしまうのがなぜか気になり、終業式の日にまとめた荷物の
宛先が、見覚えのある住所だったことから、休みにそこまで行くことにする。
すると、そこでは想像もしてなかった展開があり、急にわけのわからない
その土地の人から探され、追われ、逃げ回ることになる。
悠奈の父は旅先の旅館で火災による事故死をしている。
それがその教師の帰った故郷だったのが因縁となるのだけど、
その土地では、独特の信仰があり、巫女の存在が土地を守るとされている。
父と同じ旅館で事故死した女性は、その巫女の血筋。
悠奈はなぜか、巫女の血筋として対立する二つの家筋から、
取りこまれようと追われたり、襲われたりして帰ることができなくなる。
土地信仰と、巻き込まれ型の物語で、面白く読めるのだけど、
どうしても、万城目なところが気になってしまいマイナスポイントかも。
物語自体は面白く、さわやかで、なかなかいいのだけど、ラストは
ちょっとご都合主義というか、まとまりすぎかな~ということと、
結局、物語の本題に関してはうやむやで、先生と悠奈の関係もいらないかな^^;
半ばファンタジーですが、ミステリー要素もあるという感じです^^
では、また。
鍵のかかった部屋 [本]
こんにちは
貴志祐介氏の、『鍵のかかった部屋』
密室にこだわる4つの短編集なんですけど、探偵役などの
登場人物などは同じという、独立してはいるけど連作の作品。
どの作品も、すごいトリックで、長編作品の『青いハンマー』同様、
成立はするんだろうけど、そんなことよく考えたな、犯人、という感じ。
共通しているのは、犯人は、「せっかく成立させた密室を壊したくないので、
そのまま保存しようとする」ということで、これには、なるほど~でした。
作った本人じゃなければ、密室にはこだわらないですからね^^;
それにしても、この作品の密室は、どれもこれもとてもハイレベルです。
特に、自ら一酸化炭素自殺を図ったと見せている、表題作は圧巻。
密室殺人のミステリーなので、ネタバレには注意しないとということで、
あまり多くは書けませんけど、これは真似しちゃったらどうするの?って感じ。
映画化もされた、『青い炎』のトリックもよく考えるな~という感じでしたが、
最後には、注釈でわざわざ、「この通り殺人を行おうとしてもできません」
などと、書いてあったのが印象的。
この4つの殺人はどうなんでしょうね^^;
ガラステーブルに固定されて密室で死んだ、『佇む男』
前述したとおり圧巻の、『鍵のかかった部屋』
手抜き工事で開かなくなったドアと窓の、『歪んだ箱』
それぞれ絶妙なトリックなんですけど、最後の舞台上での衆人の眼による
密室というシチュエーションの、『密室劇場』に関しては、同時収録はどうなのか?
同じ登場人物たちなのでまとめたのかもしれませんが、かなり違和感ありました。
好きな人もいるかもしれませんけど、これ、いらなかったんじゃないでしょうかね(^^;
密室トリックに関しても、ほかの3作とはかなり精密度が違ってます。
ともあれ、殺人についてこんなにいろいろ考える作家としては、
随一ではないかと思うこの頃です^^
では、また。
貴志祐介氏の、『鍵のかかった部屋』
密室にこだわる4つの短編集なんですけど、探偵役などの
登場人物などは同じという、独立してはいるけど連作の作品。
どの作品も、すごいトリックで、長編作品の『青いハンマー』同様、
成立はするんだろうけど、そんなことよく考えたな、犯人、という感じ。
共通しているのは、犯人は、「せっかく成立させた密室を壊したくないので、
そのまま保存しようとする」ということで、これには、なるほど~でした。
作った本人じゃなければ、密室にはこだわらないですからね^^;
それにしても、この作品の密室は、どれもこれもとてもハイレベルです。
特に、自ら一酸化炭素自殺を図ったと見せている、表題作は圧巻。
密室殺人のミステリーなので、ネタバレには注意しないとということで、
あまり多くは書けませんけど、これは真似しちゃったらどうするの?って感じ。
映画化もされた、『青い炎』のトリックもよく考えるな~という感じでしたが、
最後には、注釈でわざわざ、「この通り殺人を行おうとしてもできません」
などと、書いてあったのが印象的。
この4つの殺人はどうなんでしょうね^^;
ガラステーブルに固定されて密室で死んだ、『佇む男』
前述したとおり圧巻の、『鍵のかかった部屋』
手抜き工事で開かなくなったドアと窓の、『歪んだ箱』
それぞれ絶妙なトリックなんですけど、最後の舞台上での衆人の眼による
密室というシチュエーションの、『密室劇場』に関しては、同時収録はどうなのか?
同じ登場人物たちなのでまとめたのかもしれませんが、かなり違和感ありました。
好きな人もいるかもしれませんけど、これ、いらなかったんじゃないでしょうかね(^^;
密室トリックに関しても、ほかの3作とはかなり精密度が違ってます。
ともあれ、殺人についてこんなにいろいろ考える作家としては、
随一ではないかと思うこの頃です^^
では、また。
檻の中の鼓動 [本]
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こんにちは
堅い、なんとも堅いタイトル。
装丁も、黒バックに鈍く光る鎖の絵。
末浦広海氏の、『檻の中の鼓動』
さすが江戸川乱歩賞の受賞作家の作品という感じでした。
登場人物、物語の展開、テーマなど、飽きさせずに
ひきつける要素があるのですが、2時間ドラマ的な雰囲気も^^;
警察ものではあると思うのですが、実証的な部分は少なく、
それでも、ぐいぐい引っ張っていませるところはさすが。
嬰児生み捨てと、デリバリーヘルス、テーマは下世話で
ストーリー的にはやや強引で、ご都合主義的なところもあり、
緻密さには欠ける文章も気になりますが、面白く読めました。
それぞれのシーンをもうちょっと説得力を持って書けたら
重みも増して、リアルな感じが出たかなとは思うのですが、
検証や書き込みよりは、こういった楽に読める作品もありかもです。
作者は登場人物に思い入れを持って書いているような気もするので、
もしかしたら、シリーズ化するかもしれませんね。
そうしたら、ますます2時間ドラマのヒットシリーズのようです。
個人的には、特に好きなジャンルの作品ではないので、
次回作は読むかどうかは未定です。
では、また。
偉大なる、しゅららぼん [本]
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こんにちは
まったくもって、この作家はどうなってるのか??
なんで、いつもこんな物語を思いつくのか??
う~ん。
またしても、やられてしまいました。
万城目学氏の、『偉大なる、しゅららぼん』
まさに、万城目ワールド全開です。
あ、いままでは一発変換できなかったのに、
すでにマキメで変換OKに変わっていました、浸透していますね~
しゅららぼん、っていったいなんなんだろう??
と思いつつ読みましたが、なんとも、なんとも。。
ホントになんとも^^;
話は壮大なんです、いつものとおり。
物の怪的なものが当たり前のように登場するのもいつものとおり。
幻想的で大がかりな物語なのに、重厚感がないのが
まさに万城目ワールド。
でも、けっしてふざけてるわけではなく、これが文章もうまいし
読みやすく、オリジナリティあふれる物語。
ミステリーです。
ファンタジーです^^;
今回も戦うんです。
あっちとこっちに分かれて、きわめて単純に。
そしたら、思いもかけずに新たな敵が登場し、きのうの敵は今日の友。
解決するんですけど、すごい戦いだったんですけど、
なんでか、雰囲気軽いんですよね^^;
まあ。。。
間違いなく面白いです。
いままでの作品はどれも最高に面白いですけど、最高記録更新です。
ちょっと見、装丁はお金かかってないように思います。
加えて、500ページあまりの作品とは思えない厚み。
価格も1619円という、お手軽なお値段。
しかし、だまされてはいけません、油断してはいけません。
びっしり、万城目ワールドのエンタテインメントが詰まっています。
次はいったいどんな物の怪が??
では、また。
祝福 [本]
にほんブログ村
こんにちは
週末は久しぶりの雨になりました。
このブログでの読書日記は、読んだそばからUPするのではなく、
書き溜めておいて順次気が向いたら、というスタイルなので
微妙なタイムラグがあったりします^^
きょうは雨なので、新しい本たちを読み耽ると思うのですが、
まずはこちらをUPしておこうと思います^^
新人作家としては恵まれたデビューと作品群。
同じ作家でも、最初から完全に勝ち組です。
長嶋有氏の、『祝福』
文學界でデビュー、翌年芥川賞受賞。
2007年にはなんと第1回大江健三郎賞受賞。
華々しいことこの上ないです。
で、作品はというと。
なんというか、個人的な印象としては、「スレスレのキワキワ」
幅の細い塀の上を、ゆらゆら歩いて、いまにも反対側に落ちそうな?
しかし、決して落ちない。
そして、そのことをどこかでみんな知ってる、という感じ。
この1冊は、いろいろなところに書いた短編集を収録してます。
テーマも初出紙もバラバラですが、トーンは彼女のもの。
なんてことのない話で、セリフが多いのですが、
やっぱりこっち側なんだろうな~と思わせます。
こっち側ってなに?
人が読むべきものを書ける特殊な人たちがいる側なのかも。
一見たいしたことなさそうに見える人が、なかなかやるとなると
人はいっぺんにやられてしまいますね。
2度目、3度目に読める作品です、というか、読んでほしいです。
1度目にはスルーして評価できないかもしれないので。
では、また。
悪の教典 (下) [本]
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こんにちは
最初は都合の悪い人間を、軽い気持ちでする程度でしたが、
だんだん、雪だるまが転がって大きくなるように、
犯罪の質も量も加速して大きくなっていったところまでが上巻でした。
貴志祐介氏の、『悪の教典 (下)』
読み終わって、これはまた。。。
という作品ではあるのですが、なぜ面白く読めてしまうのか?
頭脳明晰で、人の思惑を図ることもでき、見た目もよく、
そのままでも、なんら不自由なくすべてを手に入れられる条件を
もちながら、なぜ、負の力を持って高校という小さな世界を
支配したかったのかはよくわかりません。。
ほかの教師からのおぼえもめでたく、生徒にも人気で、
やりたい放題できる状況だったと思うのですが^^;
同僚を脅して金品をせしめたり、女生徒を欲望の対象物として
コレクションしたり、都合が悪いと殺してしまったり。。
ピカレスク小説とはまた違う悪の物語は、やっぱり宗教的な
人間の根源にあるものを掘り下げるためのものなのかも。
下巻では、都合の悪い生徒を処理するために、カモフラージュで
担任する組の生徒すべてを散弾銃で虐殺するクライマックスです。
このあたりは、『バトルロワイヤル』ふうな展開で、戦争ごっこが
対岸の火事のような、他人事的な面白さは充分あります。
殺人を自殺に見せかけるためだけに、「そうか、死体を隠すのは
死体の森だな」ということで、皆殺しを楽しむことに。
人と共感することはないのですが、散弾銃にシンパシーを持ったり、
大量虐殺への喜びが抑えきれなかったり。
なんとなく読んでいて、頭に浮かんだのは、ずいぶん昔の
ホラー映画、『オーメン』です。
成長させてはいけないけど、その思惑以上に成長する力ももってるので
生まれたら最後、だれかが殺さなければまたやられてしまう。。
最後はちょっとあっけなかったですが、充分面白い物語でした。
その物語が何のために存在するのかは、いまだにはっきりと
わかったりはしないのですが。。
では、また。
悪の祭典(上) [本]
にほんブログ村
こんにちは
至福の時、それはお気に入りの作家の新刊が、
書き下ろしで、装丁もよく、分厚く、または2段組みで
がっつり読めそうな気配を発している瞬間。。
ということで、書下ろしではないですが、
貴志祐介氏の、『悪の祭典 (上)』
ほかの条件はほぼ満たしているという初対面^^
上ってことは、もちろん、下巻もあるわけで、分厚い×2なわけです。
ちなみに厚みは8センチありました。
あまりうれしかったので、計ってみてしまいました^^;
この分厚さで、このタイトル。
悪でびっしりの予感。
どんな悪なんだろ~ と読み始めると高校の学園ものです。
さわやかな人気者の若い英語教師と、高校生の世界。
でも、タイトルとは関係なく、あいかわらず映像が目に浮かぶような
読みやすく、うまく読者を誘導していくプロの筆力^^
ついつい引き込まれて読み進めていくと。。。
じわじわとにじんできました^^
読み始めは、こんな物語になるとは思わず、タイトルからして
もうちょっと宗教的でオドロオドロした人物が登場すると思ったのに。
人間の姿をして、頭脳明晰、好印象で、誰からも認められ
好かれる存在でありながら、中身は共感性の欠如した人外。。
明るい学園生活の中で、問題教師や問題児の存在が現れ、
そちらに目を向けていたら、次第に姿を現し始めたという感じ。
80ページくらいの章に分かれている構成で、ひとつの事件が起こり
問題になる人物が処刑されていくので、必殺仕置き人形式化と
思いきや、犯罪を楽しむサイコパスな中身が次々に露出。
上巻が終わるころには、この、快楽犯罪者の教師が
自分の思い通りに学園を動かすために、どんなことでもやり、
そこには反省や恐れなどない、異常人格者だということがはっきりします。
生まれつき、共感性のない人物というのは、こういうものなのかと、
なんとなく、程度は違いこそすれ、こんな人物ってざくざくいそうだな、
と思うわせるスリラー小説という感じでした。。
さあ、これから下巻が待っています。
このシリアルキラーがどんな犯行を犯すのか、人はなんで
こんな物語を読みたいと思うのか?
それもまた、人の心の中の不思議のひとつだと思います。
では、また。