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Story Seller 3 [本]

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こんにちは

もともとは月刊小説誌の別冊で発刊されているのですが、
これがシリーズ3冊目の粋な1冊。

『Story Seller 3』

いや~。

このシリーズ、いいんですよ。
本好きにはたまらない、行き届いた1冊なんです。

上昇株の作家を中心にそろえた、中短編を収録していて、
テーマも特になく、長さもバラバラで、統一感はないのですが、
わたしの頭の中では統一されています。

おもしろい作家たちが、おもしろい作品を書いている。

まさにこれに尽きます^^

今回のこのアンソロジーにエントリーしている作家は

沢木耕太郎氏の、『男派と女派』

これは物語ではなく、エッセイなのですが、人生において
自分に大きな影響を与えてくれたのは、男性か女性か
というようなテーマで書かれた作品。

沢木氏は前回のアンソロジーにも収録されています。
個人的にはあまり興味のわかない作家ではあるけど、
独特のタッチと視点で、ファンも多い作家でしょう。

近藤史恵氏の、『ゴールよりももっと遠く』

いろいろなジャンルの作品が書け、それぞれクオリティも高く
出版数も多いという、ほんとに読者にとってはすばらしい作家。

最近は自転車競技に興味を持たれているらしく、
この作品も、その長編作の外伝の短編という感じです。

湊かなえ氏の、『楽園』

言わずもがなの、最近の作家としては破格のベストセラー作家。
この人の名前で、この本を手に取った人も多いと思います。

しかしながら、個人的には読後感の悪い作品が多く、
文章もあまり好きでなかったりするのですが、それでも
どうしても気になり、読んでしまう作家ではあります。

すでに出版された長編作とは違い、読後感のよい作品でした。
そして、やっぱりこの人はうまい作家なのだと思いました。
これからもしばらくは売れる本を書きつづけるでしょう。

有川浩氏の、『作家的一週間』

最近の活躍ぶりには目を見張るものがあります。
どうしても児童書、もしくはティーン向けの作家という印象が強く、
個人的には、これほど注目されるのは違和感があります。

読みやすく、明るい作品が多いのはいいのかもしれません。
この収録作も、読めば面白いけど、どうしても読まなければ、
という作品ではないのですが、強いて言えば筒井康隆風です。

米澤穂信氏の、『満願』

ほかの作家から比べると、やや知名度は落ち地味な印象ですが、
作品は読みごたえのあるものを書く、個人的注目作家です。

収録作品もよくできていて、短編にもかかわらず、とても
奥行きある物語になっています。
残念なのは、ちょっと2時間ドラマ調で映像が浮かぶのが^^;

佐藤友哉氏の、『555のコッペン』

佐藤氏の作品は文体や世界観が独特です。
個人的印象は、コミケに出入りしている人が書きそう、という感じ。
リズムよく軽い文章なのですが、物語が見えない。

トリックを思いついたので、そのために書きました、
というような、ある意味斬新さを感じる作家です。
嫌いなオリジナリティではないので、次回作も読むと思いますが、
なんとも不思議で不可解な作家です。

さだまさし氏の、『片恋』

このシリーズ初登場の有名歌手です。
文芸作品を読むのは初めて。
しかし、さすがというか、完成度の高い作品です。

なんというか、ありそうな、なさそうな、でもやっぱりありそうな
という物語で、こういう恋もありなのだと、個人的には強く思います。

さて、今回でシリーズ3弾目ですが、どうでしょう?
個人的には、1、2、のドリームチームの作家群のほうがよかった、
とも思えるのですが、このアンソロジー集の出版は続けてほしいです。


では、また。



桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 [本]

こんにちは

題名にふさわしい、スタイリッシュなイラストの装丁は
中身もさぞや、と思わせるステキな仕上がりです^^

奥泉光氏の、『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』

ひそかに愛する作家です^^

って、ひそかに愛されてどうなんだ?ってことなんですけど^^;

まあ、失礼ながら作家としての知名度はそれほどでもない??

あまり本を読んでない人には作家名を言ってもまずワカラナイ。。。

でも、この人、すごい人なんですよ、個人的な評価はもちろんですが、
芥川賞作家ですからね、なんといっても。

受賞作はやや難解だったので、そこでストップしている人も
多いかもしれませんが、現在の作家ではめずらしい、
アカデミックで洒脱な書き手という、貴重な存在なんです。

どの作品を読んでも奥行きがあります。

それは、各作品の幅ということもあるのかもしれませんが、
なんというか、ゆとりを感じるんですよね。

この作品は、タイトルとはまったく違う、下流常勤講師のクワコーが
事件を解決していくという、中短編の学園ミステリーです。

クワコ―シリーズ第2弾ですが、はたしてこのままシリーズは続くのか? 

っていうところは、これ以上クワコ―の待遇がおちるのか?

ということとシンクロしているので、その意味でもスリリングです。

ジャンルとしては、学園コミックミステリーという感じなのですが、
そこはそれで終わらない、芥川受賞作家としての重厚さが・・・

まったくないところが、この作家のうまさであり魅力だと思います。

個人的には、初期のころの作品を読んでこそ、最近の作品の
おもしろさが増すな~と思っております。

フレッシュ感も漂う、『ノヴァーリスの引用』や、『葦と百合』などもぜひ。
こっち系の作品もまた読みたいな~と思っています^^


では、また。

文学2011 日本藝術家協会編 [本]

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こんにちは

タイトルからして、文学ですからね~
読んでおかないといけない気配ですが^^;

でも、ある意味シンプルなタイトルにふさわしく、
装丁もあまり凝った感じのないそっけなさ。。。

これは書店に置いてあったとしても、あまり食指がわかないかも。

しかし、しかしです。

中身はというと、これはやっぱり読んでおかないと、
という作者と作品のラインナップ!!!

まさに2011年に切り取った作家群がわさわさです。

あたらしい作家というわけではなく、かなりな古豪も多く収録。
そして、あくまでも純文学というゾーンなあたらしすぎないニューカマー

20名の作家の短編作品が収録されていますので、
ひとつひとつの作品については触れませんが、さすがの1冊。

解説が冒頭についていて、これを最初に読むことで
かなりガイドとして読みやすくなっています。

こういうたくさんの作家を集めた本としては、中身のトーンが
まとまらずに読みにくいものも多いのですが、とても親切です^^

日本藝術家協会が編纂した作家と作品ということで、
編集委員もゴージャスですが、自らの作品は入れなかったんですね^^;

選ぶほう、選ばれるほう、どちらも魅力的な1冊。

ただ、20名の作品が掲載されてるとはいえ、300ページの
ふつうの装丁の本に、3300円というお値段はやっぱり高いかな~

図書館などの蔵書としてのニーズということで出版されたのかも?

その価値が充分あるとは思うのですが、もうちょっと装丁もなんとか。。


純文学のガイド本として、とてもおすすめの1冊です。


では、また。



レボリューション NO. [本]

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こんにちは

寡作なのがとても惜しい作家というのは罪なものです。

もっと作品が読みたいのに、なかなか読めない。

その分、読めた時にはうれしいのですが。


金城一紀氏の、『レボリューション NO.』


在日韓国人であるという、存在感もあり、彼にしか書けない
独特の世界を描ける作家なのですが、その中でも、
シリーズ化している、レボリューションシリーズの黎明期版。

落ちこぼれ高校に入って、荒んでいる中での友情物語、
っていうシンプルなシリーズなのですが、ひとことで言えば
とても、「痛快」なお話です。

待って、待って、読んだ作品の中では、期待が膨らみすぎて
それほどでも…、と思ってしまうものもあるのですが、
やっぱりおもしろかったな~

いままで書いている、「レボリューション」シリーズの、登場人物
「ゾンビーズ」の誕生秘話、という位置づけなのですが、
これが、ああなって、そうなるのか~と思わせてくれます。

青春っていいなあ。
落ちこぼれでも、よごれでも、青春の一時代は誰にでもあるはず、
そう信じさせてくれる痛快な作品でした^^

次はいつなんでしょうかね?
あまり待ちたくないなあ^^;


では、また。

身も心も [本]

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こんにちは


最初の作品を読んでから、気がつけば20年以上の月日が過ぎて、
新感覚の新人作家というイメージをずっと持っていたのですが、
とっくの昔にベテランの作家さんになっていたのにきずきました^^;

盛田隆二氏の、『身も心も』

それほど、デビュー作の新鮮なイメージが強かったということ
だと思うのですが、最近作というか、ここ数年は
社会事象的なテーマの作品が多いように思います。

今回はどんな物語かな~と思い読みましたが、やはり
最近の傾向の強く出ている作品で、テーマはさらに深いものに。

ひとことで言えば、老齢者の恋愛ということになるのだと思うのですが、
社会の経済活動を引退した後の人生で、パートナーがいない人間は
どのように想い、どのように残りの時間を生きようとするのか。

妻を亡くし、長男家族と同居する典型的なな後期高齢者の男性と、
まだ老齢に差し掛かったくらいの生涯独身で、血縁者のない女性。

人は年を重ねると、自分で積み重ねてきたものに囲まれる。
それがよいものであれ、そうでないものであれ。

見えない囲いを乗り越えて得られる最終の時間は、どれほど
残っているのか、どれほどよろこびが増えるのか。

老いていくにしたがって、人生はどんどん過酷になっていく。

人は死ぬまで勇気を持ち続けなければ生きていけない。
最後は静かにおだやかに、というのは、まだ老齢にさしかかって
いない人の考えなのだということを、読んでいて思わせる作品でした。

文学として、もしくは文芸として、と思うと、個人的には
昔の作品のイメージが強烈な故、いまだにこの分野の作品には
物足りなさを感じてしまうのですが。。

この物語には、老齢者をとりまく様々な背景がとてもよく描かれています。

それは、老齢者と身近な立場でだったり、それほど深くない関係だったり
視点によってほんとうにいろいろな見え方をするし、やがて来る自分の
将来の姿を考えたりするのに、とても必要な物語だと思います。

初期のころのような作品を読みたいと、読み続けている作家ではありますが、
では、この物語はだれが書けばよかったのか?と考えると、
やはりこの作家にしか書けない物語なのかとも。

この物語が必要な人は、とても多いでしょう。
わたしも両親のことを思うのに、個人的にとても必要でした。

テーマ競作ということで、ほかの作家さんも同じテーマで書いています。
テーマは『死様』です。

気になる作家も書いているようなので、さっそくリクエストです^^


では、また。





ロマンス [本]

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こんにちは

独特の世界と、頽廃の気配。
最近の作家としては、希少な存在のこの人の新作。

柳広司氏の、『ロマンス』

またしても、時代設定は明治・大正時代。
そして、軍隊と貴族など、彼の世界観が満載です。

子爵家と伯爵家の2人の男性と、その妹をとりまく殺人事件。
犯人を捜していくと、行きあたる題名の「ロマンス」

スタイリッシュな文体の作家として、評価の高い柳氏ですが、
個人的には、スタイリッシュというよりは、こういう作品を
書けるだけの品のある文章を書ける作家というイメージです。

『ジョーカー・ゲーム』『キング&クイーン』などに見られる、
男性同士の世界や駆け引きなどに、とても洒脱で頽廃的な
いまでは表現の難しい美しさを感じてしまいます。

日本の歴史の中での貴族ってなんだったんだろうと、
いま考えると不思議な時代だったなあと思います。

もちろん、いまの時代でも、その貴族の流れをくんでいる存在は
あるはずなのですが、「貴族」という名称は死滅してますね^^;

ミステリーという分野ではあるのですが、それを超えた
物語の世界は、独特の個性でこれからも惹きつけられてしまうでしょう。

抜群に面白いストーリーを書く作家ではなく、文章そのものに
魅力のある作家のひとりなのだと思っています。


これも、いまく映像化したら見てみたい作品だな^^

日本映画でもいいし、日本以外で映画化してもおもしろそうです^^


では、また。



クラウド [本]


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こんにちは

しょっちゅう書店や図書館に行き、目新しい作家に対しては
かなりレーダーを張り巡らせてるつもりなのですが、
突然、何の受賞歴もなく複数の本を出版している作家がいます。

この作家もそんなひとりでした。

樹林伸氏の、『クラウド』

連載も、月刊『パピルス』というややマイナーな文芸誌。
そして、奥付を読むと、漫画の原作などを書いていたらしい。

しかも、『金田一少年の事件簿』や『神の雫』などのメガヒット作^^

ふ~ん、と思いながら読み進みましたが。。

なるほどな~ やっぱりうまいな~ という印象でした。

20代の女性が、社内恋愛の末に精神的に出社できなくなり、
ひきこもりつつ、救いを求めるうち、ツイッターの世界に入り込む。

そこには彼女のことを大切に思ってくれる、見えない存在がいて
やがて彼女を守るために殺人事件を引き起こす。。

200P足らずの作品なのですが、テーマがテーマなので、
かなり旬があって、来年になって読むとどうなのか?と思わせる
部分も多かったのですが、作品としてはよくできていたと思います。

伏線や布石、謎解きの過程など、短い作品なのでやや強引な
ところももちろんあるのですが、ドラマ化しても面白いかも。

文学や文芸とはまた違った、エンタテインメント作品ですね。

次の作品も読んでみたいかな^^


では、また。


ビリジアン [本]

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こんにちは

とにかく不思議な作家で、その中でも不思議な作品でした。

柴崎友香氏の、『ビリジアン』

知名度はないかもしれないのですが、玄人受けするのか
けっこう受賞歴があったり、候補作になったりする。

デビューは地味な立ち上がりで、文藝賞の最終候補に
残ったものの、受賞はせず、文藝に短編を書いて作家デビュー。

しかし、次の作品、『きょうのできごと』はみずみずしいできばえで、
のちに行定監督で映画化もされて注目されることに。

淡々として、なにもおこらない物語なのにひきつけられる
文章よりも行間に実力を持っている作家という印象。

特に、今回のこの作品は、ほんとに少ない文章に
なにが書かれているかを、何度も読み返すような作品。

で、なにがあるのかというと、それは読むのもの中にある、
みたいな、ワビサビの世界というか(^^;

文章は平易でスカスカなのに、その合間にあるものが
なんだか詰まって見えてしまうというのはなぜなのか?

ホントに不思議な作家です。

デビューして10年以上過ぎても、新鮮さがあり、
好きなのか?と言われたら、好きと即答はできないし、
うまいのか?おもしろいのか?と言われても、
イエスとすぐには言えないのですが、気になる^^;

どんどんミニマルな方向に進んでいく予感ですが、
このままつかみどころのない作家として書きつづけてほしいな。

読んでいて、ざらざらと心にひっかかる文章を書く作家は
いると思うし、そういう作家が好きなのですが、
この作家は、ポツポツと抜けているところがひっかかるような
不思議な魅力があるんですよね^^

では、また。

九夏前夜 [本]

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こんにちは

久しぶりに、予約ではなく図書館でセレクトした本。

佐々木中氏の、『九夏前夜』

薄い本です。
ページ数も100ページ余り。

しかし、開いてみて醸しだされる主張はかなり強い。

奥付を見て、経歴を読むと、

スゴイ!

もう、作品についてはあまり書かなくてもいいかな(笑)


1973年生まれ、東京大学文学部 思想文化学科卒業、
東京大学大学院 人文社会研究系 基礎文化研究専攻
宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。(博士)

ここまで詳しく書かれると、東京大学ってこんなに
細分化された研究分野があるのね~と感心できます。

いちばん興味深いのは、「人文社会研究系」ですかね?

「系」っていったい(^^;

現在は、2つの大学の非常勤講師をするかたわらの
執筆活動という感じのようです。

専攻は、「哲学」「現代思想」「理論宗教学」

これはもう、確実に頭のいい人ですね。

作品についてですが、頭のいい人の中身をランダムに、
しかし、美意識を持って並べて見せた、という印象。

装丁も花の写真なのですが、枯れる寸前、もしくは
枯れた花にライトを当てて透明感を出してるような
ないようにふさわしい雰囲気をだしています。

久々に見る、「頽廃的」な1冊。

この作品についていけるような読者になりたいものです。

純文学とはまた違う、澁澤龍彦氏的な(系な?)作家なのかも。

この方の専門書も一度読んでみたいですね。
とにかく、次の作品は読みたいかなと思いました^^

では、また。





ツイッター 140文字が世界を変える [本]

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こんにちは

携帯やスマホの進化により、ブログやツイッターを利用している人は
増加の一途をたどってるようですね^^

わたしもアカウントは持っていますが、それほどつぶやいてないし、
フォローしているのも知人ばかりなので、あまり活用はしていません。

それでもいいや~、と思ってはいるのですが、
ふと目についたこの本。

コグレマサト氏、いしたにまさき氏の共著による、
『ツイッター 140文字が世界を変える』

ツイッターの歴史や背景などをはじめ、各名称や使い方など
親切に説明しているという、HOW TO本なんでしょうかね~

これを読めばいろいろもっと使いこなせるのか?
などと魔がさして(?)読むことにしたのですが。。

あまりよくわかってないわたしでも、知ってることがほとんどだったかも?
それだけ、時代が速く進んでいるっていうことなんでしょうけど。

何百人もフォローしている人のタイムラインって、川みたいなんだろうな~

個人的な感想としては、しょっちゅうつぶやいてる人って
なんだか大変そうだな~ と思いました。


「きりがない」


ので、ほどほどにしておきます^^


では、また。

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